2009年02月23日

7つの贈り物

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7つの贈り物



 「神は、7日間で世界を創造した。
 僕は、7秒間で、人生を叩き壊した。」
 自分の人生に失望した主人公ベンが
 人助けをしようと計画を立てる。
 それは驚くべき計画だった。
       展開は読めるが深く考えさせられる


評価:★★★★☆

【あらすじ(goo映画「7つの贈り物」より)


男の名前はベン・トーマス。ベンは7人の名前が載った

リストを持っている。彼らは互いに何の関係もない他人同士。

ベンは彼らに近づき、彼らの人生を調べ始める。そして、

ある条件に一致すれば、彼らの運命を永遠に変える贈り物を

渡そうとしている。ベン・トーマスとは何者なのか?彼の

目的は何なのか?そして、贈り物の中身とは…?


【コメント「7つの贈り物」

本作「7つの贈り物」のウィル・スミスはいつものウィル・スミス
とは違います。強靭な肉体でロボットやゾンビと戦うこともなければ、
銃を使うこともなく、運転も穏やかであるなど、珍しいウィル・スミス
の登場です。


本作は「幸せのちから」のムッチーノ監督がメガホンをとったという
ことで、「7つの贈り物」は「幸せのちから」とイメージが似ています
ね。


普段のウィル・スミスと何よりも違和感を抱いたのは、ウィル・スミス
の体が華奢なこと!「アイ・ロボット」などで筋肉質な全身が強調
されているのと対照的で、パワフルなウィル・スミスが好きな人には、
期待外れかもしれません。
 (私は予告編で「7つの贈り物」を観たときウィル・スミスと
  確信を持てませんでした。)


とはいえ、私は「7つの贈り物」のウィル・スミスが一番良いのでは
ないかと感じています。演技がややわざとらしい部分もあるにしろ、
繊細な動き(特に眼の動き)が素晴らしかった。


私が監督だったらこのような作品にもっと使ってみたいなぁ〜
なんてことを思いながら観ていました。


皆さんは贈り物「7つ」わかりましたか?私はあまり自信がなくて…


予告編の音楽が気に入っていたんですが、あの音楽はどこに行った?
というのが疑問です。



注意:これより下はネタバレがあります。 




【私の視点「7つの贈り物」

国税官を名乗る誠実な男ベンが脱税容疑者を調査する姿には、人生に
対する失望感など微塵も感じさせない。しかし時折彼にのぞく寂漠感
と、壮絶なフラッシュバックが、彼を支配する計り知れない重石の存在
を示唆しているのです。彼の言う「7秒間で人生を叩き壊した」とは
何を意味するのか。


彼は見ず知らずの人間に対して異常なほどに親切です。困っている
人間から彼が話を聞く姿にはただならぬものを感じます。穏やかな彼の
表情は、悟りの境地に達していると思えるほど超越しているからです。


この作品には7という数字がひとつのポイントとなっています。それは
この作品がキリスト教に根差しているからでしょう。7という数字は
キリスト教を想起さます。


ベンが最後に選んだ道はキリストの贖罪と重なる部分が感じられます。
彼が人間を超越しているように見えたのは、彼自身がキリストの象徴
として描かれていたからであるとも思えました。


全体的な印象としてわかりにくいでしょうね〜映画を観ている数が
多い方は冒頭シーンでエンディングの見通しが立つと思いますが、
そうでない方は冒頭シーンや、挿入される回想シーンに惑わされて
しまう可能性が高いです。悪い映画ではないのにもったいないです。


この映画は監督が欲張りすぎでしまった感を受けました。最初のシーン
をなくして中盤をもっとシンプルに描いた方が良かったと思います。
あの構成だと中盤はダラダラ長く感じる人が多いでしょう。未来を
映す冒頭シーンと、過去に遡る回想シーンに混乱された方もいらした
のではないでしょうか。


観賞後に煮えきらない表情をしていた方が多くいました。ストーリーの
複雑さに起因するところもあるでしょう。そのため自信がない方は
「予習」をおすすめします。
ネタバレがあっても(というよりある程度わかっていた方が)楽しめる(?)
のではと思います。

また贈り物の相手が複数いたため、焦点がぼやけてしまった印象が
残りました。ましてメインの相手が同年代の女性で、ラブストーリー化
するというのはいただけない。「結局それですか」という落胆は否め
ませんでした。
(上記理由から★の数が4つになっています)


「7つの贈り物」を計画したベンの行動は賛否両論だと思います。私は
ベンの行動を正しいとは思いませんし、私の友人がベンのようなことを
考えていたとするなら、なんとか思いとどまらせようとするでしょう。


ただ、だからといってこの映画が嫌いかというとそうでもないのです。
この映画はベンが主人公ですが、ベンから贈り物を受ける人びとこそが
影の主人公であったと思うからです。良いことをすれば誰かが見ていて
くれる、神様が見ていてくれる。やや宗教的ですが、目立たぬ善人が
救われるという世界はやはり魅力的だと思います。


そんな善人達を見て、彼らの人生を変える贈り物をしたひとりの男が
ベンだった。そう考えるとやっぱりベンは神様(キリスト)みたいだなぁ
と思います。


この映画泣かせるシーンは少ないのですが、最後の1シーンに凝縮
されています。陳腐なシーンであるにも関わらず、涙させるのがこの
作品のすごいところです。


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posted by kt-boy at 00:02| Comment(2) | TrackBack(24) | 劇場公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年02月15日

ベンジャミン・バトン

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ベンジャミン・バトン



 80歳で生まれた謎のベンジャミンの生涯を

 美しく、そして悲惨に表現。
「グレート・ギャッツビー」の
 フィッツジェラルドによる原作の映像化。


評価:★★★★★

【あらすじ(goo映画「ベンジャミン・バトン」より)


1920年代にF・スコット・フィッツジェラルドが執筆した、

80代で生まれ、そこから若返っていくひとりの男の姿を

描いた短編の映画化作品。普通の人々と同じく彼にも

時の流れを止めることはできない。ニューオーリンズを

舞台に、1918年の第一次世界大戦から21世紀に至るまでの、

ベンジャミンの誰とも違う人生の旅路を描く。


【コメント「ベンジャミン・バトン」

アカデミー賞最多ノミネートも納得の素晴らしい映画でした。

ブラット・ピットの演技(特に前半の老齢期部分)に違和感が

なかったことで、非現実の中にリアルさが感じられるという、

SFとして最高レベルの作品でした。原作がどうであったかは

不確かですが、デイジー(K.ブランシェット)の回想という

構成も秀逸。回想シーンが重すぎずに軽すぎない絶妙のバランス。

劇中のケイト・ブランシェットの美貌にはとにかくため息が出る

ばかり。


注意:これより下はネタバレがあります。

【私の視点「ベンジャミン・バトン」

この作品では、常に二項対立が意識されています。

我が子を捨てる白人男性バトン ⇔ その子を育てる黒人女性クイニー
ボタン業を経営する富豪 ⇔ 貧しい黒人一家
美人ではない女性アボット ⇔ 完璧な美人デイジー
などです。

ベンジャミンとデイジーの間に女の子が生まれたときに

医師がベンジャミンに伝えた

“She is a perfect baby.”

という言葉や、2人の夫婦が娘を何度も“perfect”と形容する

点が非常に象徴的だと思います。娘との対立には異常な男

としてのベンジャミンが想定されているわけであり、

そう考えると子どもは女の子である必然性があったということが

言えるのです。



この二項対立が唯一成立しないのがベンジャミンとデイジーの

年齢が「一致」する場面。そこで2人が結ばれるというのは

当然の結果。2人の肉体年齢は一瞬の重なりを見せるものの、

肉体年齢が再び離れていくにつれて2人の夫婦とともに観客は

ため息をつく。「この離れていく肉体年齢」こそが二項対立を

象徴しており、貧富や美醜といった二項対立だけにとらわれた

世界のむなしさを暗示しているように思われる。


私は重要人物の“死に方”に注目していた。死に際に大切な人が

そばにいるのかということに注目するとここでも二項対立が

作り出されているのであった。


かつてベンジャミンを捨てた父・バトンの死にはベンジャミンが
立ち会うが、育ての親クイニーの死に彼が立ち会うことはない。
また、ベンジャミンの死にはデイジーが立ち会うものの、デイジー
の死の瞬間に娘のキャロラインが立ち会うことはない。


このように二項対立が散りばめられていることで、認知症にかかり

デイジーを忘れてしまっていたベンジャミンが死の瞬間に突如

デイジーのことを思い出したということが、実に自然に感じ

られたのであった。


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2009年01月31日

レボリューショナリー・ロード〜燃え尽きるまで〜

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レボリューショナリー・ロード サントラ↓
音楽がかなりオススメです。(在庫僅少)


 パリでの生活への憧憬が、

 そして望まなくして授かった

 1つの命が、円満な夫婦生活を

 泥沼に引きずり込む。



評価:★★☆☆☆

【あらすじ(goo映画「レボリューショナリー・ロード」より)

1950年代のアメリカ、コネチカット州。フランクとエイプリルの

ウィーラー夫妻は、閑静な住宅街に暮らし、子供にも恵まれた

理想のカップル。しかし、甘い新婚時代の暮らしも次第に

色あせていく。演劇志向のエイプリルは地元の劇団の舞台に

立つが、芝居の出来が悪く夫婦で口論に。一方フランクは、

しがないセールスマンの仕事にやるせない不満を感じていた。

そんな時エイプリルが提案する。

「みんなで、パリで暮らしましょう」と…。


【コメント「レボリューショナリー・ロード」

理想の夢を追い求めるのは男性という従来の発想を転換させ、

幻想家の妻と現実派の旦那という対立軸を生みながら展開する

前半部は新鮮で、物語にどっぷり浸かることができる。ただ

2人の間に予期せぬ命が宿るあたりから、この話によって

伝えたいことは何であるのかということが見えなくなってくる。

責任感のない両親に、無責任な行為によって宿った1つの命が

きっかけで、夫婦生活は壊滅的なものになっていく。重い映画

であることは間違いないが、メッセージ性が薄く首を傾げたく

なる。

無理矢理に理由付けをするとするならば、この2人にとってのパリ

とは現実逃避の場所なのであろう。子どもがいるのに2人で外出する

など、この夫婦の未熟さは至る所で顔を出しているから、場所を

変えさえすれば、悶々とした気持ちは解消されるという幼稚な

気持ちが悲劇の源泉だったと考えることもできますね。

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posted by kt-boy at 00:52| Comment(3) | 劇場公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月30日

誰も守ってくれない

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s誰も守ってくれない.jpg 家族が殺人犯として逮捕された家庭は

 崩壊の一途をたどることになる。

 そんな一例を女子中学生の視点から

 描く作品。



評価:★★★★★★★★☆☆

あらすじ(goo映画「誰も守ってくれない」より)

幼い姉妹の殺害事件で未成年の容疑者が逮捕される。その

瞬間から容疑者の家族は、マスコミや世間の目を避ける

ため警察の保護下に置かれ、中学生の妹・船村沙織の

担当は刑事の勝浦に任される。ホテルや自宅アパート、

友人のマンションを転々とするが、マスコミの執拗な追跡に

行き場を無くした勝浦は、かつて担当した事件の被害者

家族が営む伊豆のペンションに身を寄せる。そこへ沙織の

ボーイフレンドが駆けつける。


【コメント「誰も守ってくれない」

 本作「誰も守ってくれない」公開から1週間あまりがたちましたが、

各種メディアや視聴者から大反響となっています。私はこの映画を

観たときに感じました。

「これは明らかに裁判員制度を意識している」。

「誰も守ってくれない」では被害者家族の心情と加害者家族の心情の

両方を、まるで絶妙な均衡状態にある天秤のように描いています。

結局どちらが強く守られるべきかという答えは簡単に出るわけも

ありません。しかしこのような作品を映画という形で作ったメディアは

珍しく良い仕事をしたなぁと思う限りです。


 5月から始まる裁判員制度に向けた準備がが着々と進んでいますが、

多くの人にとって心の準備はできていないでしょう。裁判員として招集

される前に目を通していただければと思います。


【私の視点「誰も守ってくれない」

 全体を通してはいい映画なのですが、主人公のボーイ・フレンドが

登場するシーンは余計だなというのが私の感想です。ネット社会の

弊害は中学生にも及んでいると言いたいのでしょうが、あのシーンだけ

リアル感が全く感じられず
、引いてしまいました。


 新聞記者(佐々木蔵之介)の最後の言葉は実に深い一言でした。

「転がったボールには追いつけない」。

ここでの転がったボールという表現はいくらでも解釈のしようが

ありますね。これから観る人はそんなことを考えながら観ると

良いのではないでしょうか。


 この映画を観た日は東野圭吾の「さまよう刃」を読んでいる最中

でもありました。「さまよう刃」は娘を蹂躙された父親が犯人たち

に復讐を試みるという話なのですが、「誰も守ってくれない」

合わせて読むことで、メディアと国民の関係について深く考えさせ

られました。中でも、

“マスコミの過剰な報道は「悪」なのか「必要悪」なのか”

ということを強く考えさせられました。

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posted by kt-boy at 12:06| Comment(5) | TrackBack(7) | 劇場公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2009年01月17日

K-20 怪人20面相・伝

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K-20 怪人20面相・伝
もし第2次世界大戦が起こらなかったら・・・そんな仮定のもとに設定された舞台は1945年、架空都市「帝都」。明治からの家族制度が残存し、国民間に大きな格差が存在する。そんななか、鮮やかな手口で富裕層を狙うK-20こと「怪人20面相」が世の中を騒がせていた。人気探偵、明智小五郎はサーカス隊員である遠藤平吉がK-20であると捜査を進めるのだが・・・

コメント

主役・平吉役の金城武と、明智小五郎役の仲村トオルが

役柄ピッタリの雰囲気を生み出していることは勿論なの

ですが、本作では國村隼や高島礼子、小日向文世などの

脇役がそれぞれの持ち味を最高に出しているため、見て

いての安心感がありました。前半の修行の辺りも非常に

面白い
ため、2時間半の大作なのですが見ていて飽きない

ところが嬉しいですね。笑いと驚きが満載のエンタメ

作品です。



【これから見る人は「私の視点」は読まないほうが良いと思います。
明らかなネタバレはないようにしていますが、犯人を推測
しやすくしてしまう可能性があります。】


私の視点

@20年前の原作を、現在に映画化した理由は何なのだろう?
A怪人20面相とは何を象徴していたのか?

この2点を鑑賞中に常に意識していました。この作品が

今映画化されたことについてですが、華族制度によって

形成された格差と同じ状況が今の日本にはびこっている

というメッセージを読み取ることができます。この点に

ついては多くの人が読み取られた部分かと思います。

ただこの映画は果たして格差を完全是正しようとしていた

でしょうか?
私はそうでなかったように感じました。

貧乏生活を強いられながらもサーカス隊員として強く

生きていこうとする遠藤平吉や、源吉(國村隼)をはじめ

社会から疎ましの目で見られている泥棒達。それでも

彼らは自らの運命に対して卑屈になることなく、

できることをやろうと生きています。そんなことを考えた

とき、怪人20面相が象徴しているものの答えが出た気が

しました。

怪人20面相の真犯人は、かつて貧乏暮らしを強いられた

ことを恨み、「既存のものを破壊すれば新しい世界が

開かれる」
。そう信じて疑わない人でした。ただそんなことを

したところで結局は世の中を良くすることにはつながり

ませんよね?
現在の日本では日々信じられないような

事件が多発しています。人を殺め「誰でも良かった」と

供述する殺人者たちは怪人20面相と同じようなことを

考えていたのではないでしょうか?

「アクションを起こせば(人を殺せば)何かが変えられる」

というように。怪人20面相はそんな犯罪者たちを象徴して

いた
のではないでしょうか?

平吉がいくら頑張ったところで、帝都における格差が

是正されることはなかったのだと思います。しかし、

少なくとも1財閥グループのあり方を変えることができ

ました。自分の置かれている状況を制度や他人のせいに

することは簡単です。しかしそんな姿勢からは何も

生まれてこない。自分のできる範囲で精一杯生きることで

世の中が僅かでも変わるかもしれない。その積み重ねに

よって社会が構築されていく。そんなメッセージを

読み取ることができました。

最後の最後まで、平吉と葉子が結ばれなくて私は安心

しました。「お互いがお互いの道を行く」という平吉の

言葉に全てが集約されていた気がするからです。


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posted by kt-boy at 19:23| Comment(0) | 劇場公開中 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

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